昨今の国際情勢の悪化に伴い、高高度核爆発(High-Altitude Nuclear Explosion:HANE)により発生する電磁パルス(High-Altitude Electromagnetic Pulse:HEMP)や高強度電磁界(High Power Electromagnetic:HPEM)発生器による意図的電磁妨害(Intentional Electromagnetic Interference:IEMI)など、電子機器への不可逆な損失を与える攻撃が懸念されています。
HEMPには初期、中期、後期の3つの段階があり、それぞれ立ち上がり時間と幅が違うためその脅威も変化します。
E1のHEMPはコンプトン効果によるガンマ線によるもので、大きなピーク電界(数十kV/m)かつ速い立ち上がりのパルス(100ms以下)です。一般的には人体には何の影響もないとされていますが、あまりにも強力なエネルギーのためフィルタだけで機器を保護することは難しいとも言われています。
E2のHEMPは中性子のイオン化によるもので、電界は10~100V/m、パルスは100ms~数十msです。雷サージに似ており、大体の機器はE2によって破壊される可能性が高いとされています。
E3のHEMPは磁気流体力学EMPともいわれ、電界は数mv/m、パルスは数秒です。電界の強さは数mV/mですが、電線の長さに比例してエネルギーが大きくなるため強大な電流を発生させます。これによってインフラが破壊され、都市機能は壊滅的な被害を受ける可能性があります。
※日本オートマティック・コントロール株式会社HPより一部引用
これらのHEMPやIEMIによって引き起こされる通信や電力、ガス、上下水道、交通等各種インフラの機能不全、コンピュータのデータ喪失など今まで経験した事の無い大きな被害をもたらす脅威が現実的なものとなってきており、その対策が求められています。
これらの脅威から通信装置やサーバを護る為の対策としてパルスの空中伝搬を遮蔽するシールド、電源・信号ラインのフィルタリング等がありますが、米国国防総省が制定するMIL-STD(Military Standard)ではこのシールドやフィルタの性能について規定されています。