協力:株式会社イー・エム・シー・ジャパン
HEMP(High altitude electromagnetic pulse:高高度電磁パルス)とは人為的攻撃・自然災害によって高高度で生じ、地上に降り注ぐ強力な電磁パルスです。その影響は人体に直接的影響はありませんが、電子機器の誤挙動(誤動作)または損傷・破壊を引き起こし、電子機器を使用した通信や電力、ガス、上下水道、交通などのインフラに重大な障害を生じさせます。
HEMP照射試験はこれらの電子機器だけでなく、他にも自動車や航空機の電子部品の信頼性や耐性を評価するために実施されます。この試験はMIL-STD-461G規格のRS105や、NDS C 0011C規格のRS4によって規定されており、静電気に類似したHEMP波形の高速放射E1パルス(Tr: 2.3ns / Td: 23ns, 50kV/m min)が照射可能な試験システムにて評価します。
電源ケーブルや通信ケーブルがHEMPに曝されると、ノイズとしてケーブル内に入り込んだHEMP波形が、接続されている機器を損傷・破壊したり、送電線を通じて発電所などのインフラに障害を与えたりする恐れがあります。
これらの脅威に対応する製品(電子機器やフィルタなど)の為の試験がMIL-STD-188-125-1/2やMIL-STD-461G、NDS C 0011Cなどの規格によって定められており、静電気や誘導雷に類似した高速パルスを印加してその耐性を評価します。
その中でもPCI(Pulse Current Injection)試験とは、電線に誘起するHEMP(E1&E2パルス)の波形を模擬して、製品(フィルタなど)に対して高速電流パルスを注入する試験です。この試験の目的は、主に
になります。
内容 | 項目 | 試験レベル | 主な対象 |
---|---|---|---|
MIL-STD-125-1/2 | |||
PCI試験 | Appendix B | E1パルス 5kA(max),Tr≦20ns,Td525ns |
電源/信号フィルタ |
E2パルス 260A(max),Tr≦1.5μs,Td4ms |
|||
MIL-STD-461G / NDS C 0011C | |||
伝導(CS)試験 | CS116(CS7) | 10k – 100MHz 10A max |
電子機器(配線) |