トルクセンサの管理方法には簡単な点検のみ、一般校正、認定校正などがありますが、皆さんが使用されているトルクセンサの精度はどのように管理されているでしょうか。
校正はしていなくても定期的な点検を行っているという話もお聞きします。しかし数台ならともかく数十台のトルクセンサを点検する場合、点検に掛かる時間も相当なものになってしまいます。
ここではトルクセンサの校正/点検に使用されるトルク校正装置について、実荷重式に比べより短時間で校正/検査を実施可能なビルドアップ式をご紹介します。
このような設備のご導入には長期レンタル(3年間, 5年間など)若しくはリースをご検討ください。お客様に合わせた最適なプランをご提案致します。
長期レンタルのメリットについては最下部の「レンタルを利用することによるメリット」も併せてご覧ください。
IATF 16949では「検査や試験に使用する機器の校正を行う試験所はISO/IEC 17025又はこれに相当する国内基準に認定され、該当する検査や試験は適用範囲に含まれていなければならない」としています。トルクセンサについても同様で、ISO/IEC 17025に則って実施される校正ではその校正のトレーサビリティも重要になります。
トルクは回転軸からの距離×質量で表されるため、以前は(アームの)長さ、(おもりの)質量それぞれの標準にトレーサブルであることが求められていました。しかし国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下AIST)がトルクの標準を開発したことにより、現在ではこのトルク標準へのトレーサビリティが必須になっています。
実荷重式は金属おもりの質量、アームの長さ、設置場所の重力加速度からトルクを得る方式で、特におもりやアームは温湿度の影響を受け易くまた装置全体ではかなりの重量になる為床の補強が必要になるなど環境の構築に注意が必要になります。
ビルドアップ式は参照標準のトルクセンサを内蔵し被校正トルクセンサと直列に設置することで、参照標準との比較により校正を行う方式です。必要なトルクを得るために油圧シリンダや電動モータ等が使用されるため、比較的環境の影響を受け難い構成になっています。
前述のように、実荷重式は温湿度の管理などを厳密に行う必要がある反面AISTでも採用されていることから分かる通り現状では最も高精度なトルクを実現します。しかしトルクを変更する度におもりの安定を待つ必要があるなど、校正に時間が掛かるのが難点と言えば難点です。
例えばDIN 51309※2に則った校正を実施する場合、実荷重式では1つのトルクセンサを校正するのに丸1日程度掛かるのに対し、ビルドアップ式ではソフトウェアでの自動制御により1時間程度で完了することができます。
また実荷重式ではほとんどの場合で定格が固定であるのに対し、ビルドアップ式では参照標準のトルクセンサを換えることにより容易にレンジの変更を行うことができます。
ビルドアップ式校正装置の価格は実荷重式に比べ1/5から1/3と比較的安価であるということもメリットのひとつです。
※2:ドイツ工業規格。技術基準としてトルク計測機器の校正方法を定めている。
実荷重式トルク校正装置
ビルドアップ式トルク校正装置
実荷重式 | ビルドアップ式 | |
---|---|---|
精度 | 現状最も高精度 | 実荷重式には劣るが十分な精度 |
トルクを得る方法 | おもり、アーム、重力加速度 | 油圧シリンダ、電動モータなど |
校正に要する時間 | 長い | 短い(実荷重式の1/20程度) |
価格 | 高額 | (実荷重式と比べ)安価 |
R-TCM 20 kN-mは、最大20 kN-mの定格を持つ基準トルク変換器と被測定品間の比較方式を使用しています
TB2の3レンジのトルク変換器を基準として同じ3レンジをセルフチェックと比較測定のためのトランスファーとして使用することで、最高測定能力Wbmc = 0,04% (k = 2)を実現しています。
DIN51309に準拠したマルチチャンネル同期読み取り、基準変換器の非線形性とヒステリシスの補正、校正手順の自動・手動制御のための専用ソフトウェアを内蔵。交番トルクとクリープ試験の残留応力パラメータの測定が可能です。
定格及びその他の仕様は打合せによりご提案いたします。
購入するには資金が…などの場合でも、レンタルでご利用を開始していただければ無理なくご導入いただけます。
また、利用期間の延長や買取への切り替えなど柔軟な対応も可能です。
他にもメリットがありますので、是非お問い合せ下さい。
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)JCSSトレーサビリティ体系:トルクの例