国内におけるトルクの特定標準器による校正は、産業技術総合研究所が開発した実荷重式トルク標準器で参照用トルクセンサを校正することによって行われています。
実荷重式トルク標準器ではモーメントアームの先端におもりを設置し、そのおもりの質量m、設置場所の重力加速度glocal 、及びモーメントアームの長さLからトルクTを導きます。この時おもりの質量は1×10-6程度にまで調整され、質量の国家標準にトレーサブル且つ高精度な校正がなされています。
自動車等の製造ラインにおけるメンテナンスで使用されるトルクレンチやトルクドライバの締め付けトルクは、製品の安全性を保つ為に適切に管理される必要があります。また、EVモータなどの研究開発においては極めて重要な評価項目の一つとなっています。
SMFLレンタルでは、トルクセンサおよびトルク校正装置も取り扱っています。これらを新たに導入する際、また増設をお考えの際は、是非レンタルのご利用もご検討ください。
10 N・m実荷重式トルク標準機
前述の通りトルクの国家標準は実荷重式のトルク標準器によって実施されており、その為多くの校正試験所ではこの方法が採用されています。
この実荷重式は精度の高い(不確かさの小さい)トルク校正を行うことができますが、モーメントアームに取り付けたおもりの安定を待たなければならないために何台ものトルクセンサを校正する際の設定変更にはかなりの時間が掛かってしまいます。
一方でビルドアップ式のトルク校正装置はトルクの発生に油圧シリンダや電動モータ等を使用し、軸に直列に設置された内蔵の基準トルクセンサと比較することで被校正トルクセンサの校正を行います。設定の変更は基準トルクセンサの交換によって行われるため、実荷重式に比べて短時間での校正が可能です。
また精度は実荷重式にやや劣るものの、特にEVモータなどのトルクの大きいモータのトルク校正においては十分な精度を有しています。PTB(Physikalisch-Technische Bundesanstalt:ドイツ物理工学研究所)の標準器との比較では相関も十分に取れているとの結果も報告されています。
1 kN・m実荷重式トルク校正装置
ビルドアップ式トルク校正装置
SMFLレンタルでは、校正済みトルクセンサおよびトルク校正装置も取り扱っています。これらを新たに導入する際、また増設をお考えの際は、是非レンタルのご利用もご検討ください。また、パートナーとの協働によりトルクセンサの校正も承ります。
以下は弊社が取扱い可能なトルクセンサ及びトルク校正装置の例になります。パートナーとの協働により、独HBK社、独CEH社の製品を主に取り扱っています。
※定格及びその他の仕様は打合せによりご提案いたします
R-TCM 20 kN・mは、最大20 kN・mの定格を持つ基準トルク変換器と被測定品間の比較方式を使用しています。
TB2の3レンジのトルク変換器を基準として、同じ3レンジをセルフチェックと比較測定のためのトランスファーとして使用することで、最高測定能力Wbmc = 0,04% (k = 2)を実現しています。
DIN51309に準拠したマルチチャンネル同期読み取り、基準変換器の非線形性とヒステリシスの補正、校正手順の自動・手動制御のための専用ソフトウェアを内蔵。交番トルクとクリープ試験の残留応力パラメータの測定が可能。