接地を正しく施工することで感電などの事故を防ぎ、安全を保つことができます。また、高調波の発生、機械や装置の誤動作、停電などの電源品質問題の防止にもつながります。法律や規格に基づいた接地工事と保守により接地抵抗値を適切に保つことが必要です。最も一般的な接地抵抗の測定方法は 3 電極法ですが、多重接地の接地抵抗を測定するにはクランプ式測定法が適しています。また、大地抵抗率を測定するには 4 電極法が測定できる計測器が必要です。使用する測定方法に合った接地抵抗計を選びましょう。
接地工事の種類 (電気設備技術基準より) |
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種類 | 接地抵抗値 | 対象物例 |
A種 | 10 Ω以下 | 特別高圧電路 高圧電路 |
B種 | 計算による | 変圧器の 中性点 |
C種 | 10 Ω以下 500 Ω以下※ |
300V 超 低圧の機器 |
D種 | 100Ω 以下 500Ω 以下※ |
300V 以下 低圧の機器 |
※0.5秒以内に動作する漏電遮断器がある場合 |
日置電機(株) 接地抵抗計シリーズカタログ 現場計測器ダイジェスト より
ハンディ型の絶縁抵抗計は、工場やビルなどで使用される電気機器・部品および電気施設の、長期に渡る使用において絶縁劣化による感電や漏電などの危険性を予防するために使用します。
電気設備技術基準58条では、以下のように電路の使用電圧区分によりそれぞれ絶縁抵抗値が定められています。
ただし新設時の絶縁抵抗値は「1MΩ 以上が望ましい」とあります。
定格測定電圧 | 使用例 |
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25 V/50 V | 電話回線用機器、電話回線電路の絶縁測定 |
100 V/125 V | 100V系の低電圧配電路および機器の維持・管理 |
制御機器の絶縁測定 | |
250 V | 200V系の低圧電路および機器の維持・管理 |
500 V | 600V以下の低電圧配電路および機器の維持・管理 |
600V以下の低電圧配電路の竣工時の検査 | |
1000 V | 600Vを超える回路および機器の絶縁測定 |
常時使用電圧の高い高電圧設備(例えば、高圧ケーブル、高電圧機器、高電圧を用いる通信機器および電路)の絶縁測定、太陽電池アレイ |
日置電機(株) 絶縁抵抗計の原理と使い方 現場ダイジェストカタログ より
電気製品や部品が取り扱う電圧に対して、十分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁の強度)を確認するための試験を耐圧試験と言います。
JIS C 1010-1:2014 による耐圧試験器の試験電圧の決め方は、主電源部の仕様により以下のような判断をします。
耐圧試験器には規格に記載されている試験電圧が十分に印加でき、遮断電流値が測定できることが求められます。
日置電機(株) 電気安全規格と耐電圧試験・絶縁抵抗試験・保護導通試験より
系統の各所に設置されている保護継電器は、電気設備内で事故が発生した場合などにこれを保護することで、影響が周囲に波及することを防ぎます。
RX47022は、これまで複数のリレー試験器を組み合わせて行っていた高圧受電設備やコージェネレーション施設の様々な試験を一筐体で対応することが可能です。
文字記号 | 用語 |
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OVR | 過電圧継電器 |
UVR | 不足電圧継電器 |
OFR | 過周波数継電器 |
UFR | 不足周波数継電器 |
DSR | 短絡方向継電器 |
UPR | 不足電力継電器 |
RPR | 逆電力継電器 |
OVGR | 地絡過電圧継電器 |
OCGR | 地絡過電流継電器 |
DGR | 地絡方向継電器 |
OCR | 過電流継電器 |
RDFR | 比率差動継電器 |
(株)エヌエフ回路設計ブロックHPより
配線された電路以外に流れる電流は漏洩電流と呼ばれ、これが大きくなることは周囲に様々な影響を及ぼします。人体に流れる電流が30mAを超えると危険であると言われており、電子機器には誤作動などの原因となるノイズになるリスクがあるため最小限に抑える必要があります。
ケーブルの劣化などにより、絶縁不良が生じた際に漏れ電流が大きくなります。漏れ電流の測定には専用のクランプ電流計を使用します。通常の負荷電流測定用のクランプ電流計では、漏れ電流のような微小な電流を測定できません。電気設備技術基準では1mA以下であることが定められています。
電圧値・電流値を測定することにより、異常がないかを調査します。電圧は盤内の端子台において測定し、定格電圧値に対する変動範囲(通常は±10%)を確認します。電流は、普段の計測値と比較して大幅な変動が無いことや定格値以下であることなどを確認します。
ブレーカ端子部の温度上限はJIS規格や電安法などで定められています。
温度測定にサーモグラフィカメラを使用することで、広範囲を撮影した静止画像を確認することで見逃しが少ない、非接触なので危険が少ないなどのメリットがあります。
サーモグラフィカメラを使用することで、ブレーカ以外にも開閉器などの接点の接触不良箇所を早期に発見することができます。