いまさら聞けない 計測器の基礎
光アイソレーションプローブ
光アイソレーションプローブとは
光アイソレーションプローブは、オシロスコープで高電圧や高速信号を測定する際に使用されるプローブの一種です。
このプローブは、電気信号を光信号に変換して伝送し、オシロスコープの入力コネクタ付近で再び電気信号に戻すことで、電気的な絶縁を実現します。
また、高電圧のコモンモードノイズが測定に影響する場合でも、正確な波形観測が可能であり、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの次世代の半導体デバイステストに最適です。
右図はSiCのターンONにおける高電圧差動プローブによる波形と光アイソレーションプローブよる波形になります。
通常の高電圧差動プローブでは測定できませんが光アイソレーションプローブであれば測定可能です。
黄:光アイソレーションプローブ
青:高電圧差動プローブ
光アイソレーションプローブの用途
光アイソレーションプローブは、主に以下のような用途で使用されます。
- スイッチング電源:高電圧や高周波のスイッチング電源の動作を正確に測定するために使用されます
- インバータ:インバータ回路の高電圧差動信号を測定する際に、電気的な絶縁を提供します
- モータードライブ:モータードライブの高周波信号をノイズの影響を受けずに測定するために利用されます
- 充電ステーション:電気自動車の充電ステーションなど、高電圧環境での測定に適しています
- 周波数変換器:高周波数の信号を正確に測定するために使用されます
これらの用途により、光アイソレーションプローブは、電気的な絶縁を保ちながら高精度な測定を実現し、設計やテストの信頼性を向上させます。
光アイソレーションプローブのメリット
- 高いコモンモード除去比(CMRR):光アイソレーション技術によりコモンモード干渉を大幅に減少させ、強い電磁場やノイズが多い環境でも正確な測定が可能です
- 電気的絶縁:電気信号を光信号に変換して伝送するため、完全な電気的絶縁になります。これにより、高電圧環境での安全な測定が可能になります
- 高周波数帯域:高周波数帯域での測定が可能で、スイッチング電源やインバータなどの高周波数信号を正確に測定できます
- 高電圧測定:高電圧環境でも安全に測定できるため、パワーエレクトロニクスの分野で重宝されます
- 高い信号対雑音比(S/N比):信号対雑音比が高く、ノイズの影響を受けにくいため、微小な信号でも正確に測定できます
これらのメリットにより、光アイソレーションプローブは、特に高電圧・高周波数の環境での測定において非常に有効です。
光アイソレーションプローブの選定ポイント
- 周波数帯域:プローブの周波数帯域は測定対象の信号の最大周波数の少なくとも5倍以上が推奨されます
- 差動電圧範囲:プローブの差動電圧範囲が測定対象の最大電圧をカバーしていることを確認します
- コモンモード電圧:高電圧環境での測定には、コモンモード電圧が高いプローブが必要です
- 同相除去比(CMRR):高い同相除去比を持つプローブは、コモンモード干渉を効果的に排除することが可能であるため、特に高周波数帯域でのCMRRが高いプローブを選ぶ必要があります
- 接続性(S/N比):プローブのコネクタがオシロスコープに適合するか、必要なアクセサリが揃っているかを確認します
弊社おすすめ機種のご紹介
- 周波数帯域:500MHz
- 差動入力電圧範囲:±2.5kV
- コモンモード電圧範囲:60kV ピーク
- 同相除去比:20dB(500MHz)
汎用オシロスコープで使用可能な光アイソレーションプローブ
岩崎通信機 光アイソレーションプローブ
FF-1500
- 周波数帯域:1.5GH
- 差動入力電圧範囲:±1V(×1), ±10V(×10), ±25V(×25), ±50V(×50),±250V(×250), ±500V(×500), ±1000V(×1000), ±2500V(×2500)
- コモンモード電圧範囲:+/-60kV ピーク
- 同相除去比:180dB
- 50ΩのBNC入力を持つオシロスコープに使用可能
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