私たちが生活の場としている家庭や職場には、携帯電話や無線LANをはじめとする無線機器および家電や電磁調理器などから発せられるものなど様々な周波数/強さの電磁波が多数存在しています。
これらの電磁波は電子レンジやレーザーほど強力なわけではありませんが、意図的または非意図的に放射された電磁波が直接的/間接的に人体に影響を与えることが無い様ガイドラインや規制によって制限されています。
総務省では無線局の開設者に電波の強さに対する安全施設を設けることを義務付けており※1、また携帯電話端末等を製造するメーカには電波の人体吸収量に対する許容値を守ることを義務づけています。※2
※1電波法施行規則第二十一条の二、他
※2無線設備規則第十四条の二、他
家庭または誰もが近づける環境で使用される電気/電子機器で、インバータを動力とするものや電磁調理器などの磁界の発生が支配的であろう機器に対する10Hz~400kHzの曝露限度値と測定方法が定められています。
この規格は人体への電磁界曝露に関する専用の製品規格または製品群規格が適用されない電子および電気機器に適用され、その限度値と評価方法が定められています。意図的または非意図的に電磁波が放射される機器、およびそれらを組み合わせた機器が対象となります。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP:International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)が制定している電磁界ばく露を制限するためのガイドラインです。
最新版は2020年3月11日に公表されていますが、これは1998年の高周波ガイドラインの一部及び2010年の低周波ガイドラインにおける100 kHzから10 MHzの部分を置き換えるものです。
以下、総務省 「電波が人体に与える影響について」より引用
国内では「電波防護指針」を策定し、電波が人体に好ましくない影響を及ぼさない安全な状況であるか否かの判断をする際の基本的な考え方やそれに基づく基準値などを示すとともに、この指針に基づく規制を導入しています。なお電波による影響でも、無線通信への混信や医用機器、電気・電子機器などに及ぼす影響(干渉)は、生物に及ぼすメカニズムとは全く異なるため、防護指針の対象としていません。これらは、電磁両立性(EMC)の観点から、検討が別に行われています。
電波防護指針は「基礎指針」と「管理指針」から構成されています。基礎指針は電波防護の考え方の根拠として位置づけられるもので、刺激作用と熱作用の閾値(限界値)をもとにSAR(比吸収率)※3などの生物への影響に直接関連づけられる物理量で定められています。例えば、熱作用により人体に有害な影響が及ぼされるのは全身平均SARが約4ワット毎キログラム以上であることから、10倍の安全率を考慮して、全身平均SARの基準値を0.4ワット毎キログラムとしています。
※3生物が電波にばく露されることによって、単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量
SPEAG社の比吸収率比吸収率※4(SAR:Specific Absorption Rate)測定装置は米国規格 (FCC、CENELEC など) および国際的なガイドライン、規格、規制 (IEC、IEEE、ICNIRP など) 準拠のテストを行うための、ロボットベースの高精度近傍界電磁スキャンプラットフォームです。
3 kHz~110 GHz の 電磁界への人体へのばく露に関連する、電力密度測定や比吸収率など様々なアプリケーション固有のハードウェアおよびソフトウェアモジュール※5が利用可能です。
※4生体が電磁界に曝されることによって、単位質量あたりの組織に単位時間に吸収されるエネルギー量
※5SAR, APD, mmWave, WPT, HAC, R&D, c3D, AIMD
Dosimetric Assessment System DASY8
(Schmid & Partner Engineering AG)
※SPEAG社のサイトにリンクします。
・IEC 62233:2005
・IEC 62311:2019
・ICNIRP GUIDELINES FOR LIMITING EXPOSURE TO ELECTROMAGNETIC FIELDS (100 KHZ TO 300 GHZ)