冷蔵庫やエアコン、洗濯機など、モーターを使用している家電のほとんどに使用されているインバータは、電力を効率的に運用する上で大変重要な役割を担っています。近年ではSiCやGaNなどの新素材によりパワーデバイスの高性能化が進んでいますが、これらによるインバータの変換効率の向上は省エネに繋がる非常に重要な技術です。
インバータやスイッチング電源、位相制御を行う機器など、電力を変換する際に発生する高調波は電源の電圧/電流波形を歪ませ同系統に接続された他の電気機器に誤動作や故障などの悪影響を与える場合があります。その為、これらの機器から発生する高調波電流の抑制も機器を設計する上で非常に大切な要素です。
発生する高調波電流の限度値は以下の規格で定められており、欧州などでは法的に規制されています。国内においては法規制されているわけではありませんが、経済産業省や一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)などがこの規格に基づき高調波抑制対策を実施するよう要請を行っています。
上記の規格に沿った測定を行うためには「IEC 61000-4-7 電源システムおよび接続された機器の高調波及び高調波間測定(またはJIS C 61000-4-7)」に定められている方法で測定する必要があります。
横河計測(株)のWTシリーズはこのIEC 61000-4-7に対応した機能を搭載し、IEC 61000-3シリーズの試験専用ソフトウェア(オプション)※により高調波電流測定を容易に行うことができます。
※ソフトウェアオプション付の機器につきましては別途お問い合せ下さい
クラストップレベルとなる、読み値誤差±0.05%、レンジ誤差±0.05%の電力基本測定確度を達成し、エネルギー効率が高められた最新の機器を、より高い精度で測定することができます。
高調波電流測定を行う際の電源は交流安定化電源を介して供給しなければなりませんが、 (株)エヌエフ回路設計ブロックのESシリーズならEMC試験に必要な高速応答などのスペックを有する為に要求に合わせた試験が可能です。
単相/三相の各種電源システムを柔軟に構築できるプログラマブル交流電源です。
EMC試験に必要な高速応答や高調波重畳、パワーコンディショナ(PCS)の系統連系試験に必要な逆潮流にも対応していますので、規格試験や認証試験などで要求される条件にあわせた試験が可能です。
JIS C 61000-3-2では交流安定化電源からの電源供給に加えて、リファレンスインピーダンスネットワークを介して実際の系統のインピーダンスに近づける方法が採られます。(IEC 61000-3-2では使用されない)
電源ラインのインピーダンスを実際の商用ラインのインピーダンスに近似させるための抵抗とインダクタンスの回路網です。
高調波電流の測定やフリッカ (電圧変動) 試験を行う場合に、ESシリーズと組み合わせて使用します 。